翡翠×料理
「ひ、ひす―――!?」
「翡翠ちゃ―――!?」

ドッパーーン!!!


翡翠×料理


年の瀬まであと一週間。
つまりクリスマスイブの昼過ぎ。
遠野家のキッチンでは晩に控えたクリスマスパーティーの準備が進められていた。

「・・・・・・。」
「「・・・はぁあ〜」」
「・・・姉さん、何がいけなかったでしょうか?」

爆破炎上する鍋。
くるりと振り返った翡翠は、目に涙を浮かべ困惑気味にそんなことを言った。

「あのね、翡翠ちゃん? 揚げ物するお鍋にお酒なんかいれちゃだめだよー。」
「隠し味にって本に書いてあったんですけど・・・」
「翡翠、それはステーキとか焼いたり、何か炒めたりするときのものじゃないかしら?」
「うんうん、秋葉様のいうとおりです。翡翠ちゃん、その隠し味は揚げ物には・・・ね?」

どうして翡翠が料理をしているのかというと、今朝、志貴を起こしに行ったときに交わされた会話が、今晩のクリスマスパーティの話しになって、自然、話題がその料理の内容に及んだときに志貴の言った一言

―――翡翠の料理も食べたいな。

当然翡翠は否定したのだが、その時の志貴の残念そうな顔が午前いっぱい頭から離れなかったからである。
翡翠とて日々料理本を『乱』読し、いつか志貴の為に料理を作りたいと頑張っていた。
そろそろ腕試しをしたかったところ、ちょうどいい機会だと決心したわけで、まあ、その結果、情報が錯綜し今みたいなことにになっていたりするのだ。

「まったく、兄さんも余計なことを・・・」
「そんなこといったらダメですよ、秋葉さま。翡翠ちゃんもがんばってるんですし。」

―――で、当の志貴はというと、翡翠達にはナイショでなけなしのヘソクリを叩いてクリスマスプレゼントを買いにいっていたりする、それが原因でパーティーにいつものメンバーが集うことになるのだがそれはまた別のお話。

「・・・すみませんでした。秋葉さま、姉さん。やっぱり私には一生料理は出来ないんですね。」

一筋の涙を流し、翡翠が頭を下げる。
その姿は傷ついた子猫を遥かに凌駕しているとかなんとか、萌え。

「いいのよ、翡翠ちゃん。最初はみんなそうなんだから。これからおねえちゃんが教えてあげるから大丈夫よ。」
「そ、そうよ、翡翠。諦めるのはまだ早いわよ。」

あわててフォローに走る秋葉と、今にも抱きつかんと両手をワキワキさせる琥珀。

「・・・ホントですか?」
「うんうん、へーきへーき、おねえちゃんに任せて!」
「うん。」

涙を拭いて微笑む翡翠。

「――――っ」

その可愛さに息を飲む琥珀。

「・・・姉さん?」
「―――か、」
「・・・琥珀?」

ナイ胸をナチュラルに撫で下ろしたのも束の間、秋葉は怪訝そうに琥珀に目を向ける。
直後―――

「ひすいちゃん、かわいぃーー!」

「―――きゃっ!」

抱きつく琥珀に対し、翡翠は小さな悲鳴を上げて後ずさる。
が、時既に遅し、翡翠は琥珀の手に。
人知れず琥珀の奇行にため息を吐くと、秋葉はキッチンを出て行った。
・・・いつものことだからである。

「ちょ、ね、ねえさんっ!!?」
「あははー、よいではないかよいではないかー♪」
「あ、ちょっ、いやっ・・・んぅ・・・ねぇさっ、んっ・・・ぅあ・・・」

クリスマスイブの午後、遠野の屋敷では調理実習が保健体育に変わりましたとさ。

おしまい。

翡翠×料理/了
02/12/25 0:02脱稿
<あとがき>

実はコレ、脱稿日時でわかるように、
一年前の作品だったりしますw
公開しそびれてこの時期を待ってたんですよ
今ある気まぐれヒスコハの前身となる掛け合いです
青さには目を瞑ってください・・・ね?


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